気がつけば9月
インドに来てから早8ヶ月が経過いたしました。
便りによると、日本では次第に涼しい日が増えているとのこと。
インドは相変わらず暑いのですが、毎日遊びに来ていたにわか雨は、徐々に足が遠のき始め、モンスーンで洗い清められたような青い空が顔を見せてくれるようになってきました。
「インドにそれだけ住んでたら、もう一生分のカレーを口にしたんじゃ無い?」
そんな事を聞かれます。
そうですね。おそらく一生分のカレーと、一生分の雷鳴と、三生分のクラクションを経験したと思います。
一時期はカレー倦怠期があり、しばらくの間、カレーと別居生活を送っていたのですが、離れてみると彼の独特の個性は私の人生には欠かせないものだったのだと思い至り、現在は毎日一緒に過ごしています。
『距離を取る』ということは『別れ』のための準備期間だと思っていたのですが、『距離を取る』ことがいっそう恋慕を深めるという現象を33歳にして始めて経験いたしました。
さてタージマハルのある『アグラ』に出かけたお話。
インドの象徴のように語られる『タージマハル』、私の住むニューデリーからは200キロ少し離れています。バスや電車で行っても良かったのですが、過去に痛い目を見ているので、今回はインド人の知り合い繋がりの『運転手つきの車』を紹介してもらいました。
タクシーやなんかでも、国外で全く知らない人の車だと、なかなか消耗するものですね。長時間ゆられていると、どうしても眠気も襲ってきますし。安心できないと疲労の溜まり具合もいっそう増します。今回は素性が分かっていたので、安心して昼寝も出来るし、荷物も預けられる。快適具合が段違いでした。
あたりまえに信頼できるってことは、凄いことなのかもしれませんね。
さて『タージマハル』
外国人とインド人で値段がアホみたいに違います。
外国人1500円くらい、インド人50円くらい。
当然私は1500円のチケットを購入してゲートに行ったのですが、ルームメイトが門番に捕まって口論になる。
チャイ君「ここは俺たちにまかせて、Taiheiは先に行ってくれ」
と『少年マンガ』の台詞みたいなのを告げられ、先に中に入れられる。
かといって、放って先に行けるわけも無いので、身体検査場の出口で待つことに。(テロ対策なのでしょう、身体検査はかなりしつこくされます)
んで待つこと30分
苦笑いのルームメイトとチャイ君がゲートをくぐって出てきました。
私「どしたん?何があったん?」
チャイ君「んー、んーとね。いやね、ルームメイトをインド人料金で強行突破しようとして失敗したんよ」
一同爆笑。おま何しとんねん!
チャイ君「いやーいけるかなって思ったんだけどね。ネパールにも住んでたことがあるし、AIIMSで働いてるし。頑張って交渉したんだけど怒られちゃった」
すげーぜチャイ君。
ってか「ここは俺たちにまかせて先に行け」じゃねーよ。なに格好つけてんだ。
それにそれじゃあまるで、私まで違反しているみたいじゃんかよ。一連のことをオシャレは『フンッ』と鼻で笑っていました。
絵みたいな世界でした。冒頭で書いたような空が高く高く広がっていて。
近づくと白大理石には華奢な彫刻が巡らされていて、当時の石工達はシャージャハンの偲びを込めながらノミツチを振るったのでしょう、その一つ一つからコツンコツンと石を叩く音が鳴り、建物の闇の中に染み込んでいくような気すらしてくる。
多分正面からの写真は絵はがきなんかで良く見ると思いますので、こんなアングルも。
これが、お墓なのね。
いやしかし、これが墓じゃ無かったら、なんなのだろう。
シャージャハーンは国が傾くほど『タージマハル』にお金をかけたという。
自分が家臣だったら『やめちくりー』って思うだろうけど、偉大な愛すべき馬鹿野郎だよなぁ。
お金の計算とか全く無しに『全力投球』だったんだろうなぁ。
毎日2万人の職人が22年間かけて完成させたそうな。
そんな剛速球の爪痕はアグラにしっかり残り、世界遺産にもなった。
自分の墓を豪奢にする権力者は沢山いるけれど、奥さんの墓にこれをやる人ってあまり聞かない。
アレクサンドロス大王は『全世界を手に入れた人でも、墓ひとつで十分である』と言ったけど、これを見たら何て言うんだろう?
私だったら、気持ち良く笑って欲しいなと思う。
さてそんなシャージャハーンでしたが、お金を使いまくりタージマハルを作りました。そして
シャージャハーン『うーん、良い感じ。よっしゃ、川を挟んだところにもう一個つくるよ。今度は黒大理石で僕のお墓ね』
息子『ダメだこいつ、早くなんとかしないと・・・』
ってなわけで
シャージャハーン『わわわ、なにをする!?』
息子『うるせえ、黙れ。殺しはしないけど、もう閉じ込めるぞ! 悪いけど死んだことにして政権は俺が握る』
晩年はアグラ城の中で幽閉され、窓から見えるタージマハルを涙を流しながら見つめていたとのことです。
こちらです。
私はこの景色の方が好きだな。
私「ねね、オシャレはこんな墓を建てられたら嬉しい?」
オシャレ「死んだ後のことだし、墓は自分では見れないから絵に描いた餅だけど。死後にここまで情熱をかけられるほど愛されたのなら。たとえこんなのを作られなくても、女の一生はそれだけで幸せだわ」
私「なるほどね」
オシャレ「もう500年近く経つんだよね」
私「そうだね、どうしたの? 感慨深げだね?」
オシャレ「うん。ムムターズマハル様も既に何回か生まれ変わってるだろうなって思うの。そしてコレを見て、まあ素敵なお墓だわってきっと思うと思うの」
私「おー・・・。シャージャハーンの生まれ変わりはなんて思うのかな?」
オシャレ「そりゃ、ムムターズマハル様にもう一度逢いたい、よ」
チャイ君「お腹空いたー。もう十分見たでしょ?ご飯いこうよう」
『人生は夢である、死がそれを覚ませてくれる』
~ホジヴィリ~
『人はいつだって、色々なものにさよならを言わなければならない』
~ピータービーグル~
『死は救いとは言いながら、そうは悟りきれぬものである』
~大佛次郎~
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コメント
コメント一覧 (4)
懐かしいなぁ😀
10年前に行きました。
ごく素直に美しかったです。
お知り合いになったインドのご婦人が「私は、月夜に見るタージマハルが一番好きなの。美しいわよ」と話されてました。
そうでしょうね。
月の光に照らされて輝くタージマハルを、また、見に行きたいものです。
10年の歳月は、人も物も変えてしまいますけどね。
そこに私が10年前に見たままのタージマハルがあれば、嬉しいのか、悲しいのか、どうなんだろう。
ここまで読んで初めて先生が33歳なんだと知りました
(^_^;)
お若いということは素晴らしいことですね!
体力の続く限り
インドの文化をご堪能下さいませ☆
お墓…私はそっと父のお墓に入らせてもらうことになるのでしょう
あぁファザコン!
テヘペロ( ̄∀ ̄)
お久しぶりです^^
月夜に見るタージ。それは美しいでしょうね。夜かぁ、私も見てみたいです。
10年の歳月。
素敵な文句ですね。嬉しいのか悲しいのか。
どうなんでしょう。またタージに行かれることがあったら是非感想をお聞かせください^^
私は10年後に行って、変わらないタージを見たら。たぶんきっと、今とは違う切なさを感じるんだろうなと思います☆
そうですよー、実はまだ若いのです(エッヘン)
文章的にも随所に若々しさがにじみ出ていると自負しているのですが、しばしば5−60代の若作りだと思われます。
社交辞令的な『そういう褒め方』なのだとうなと思っていたのですが、そんな言葉を聞くのも2人や3人ではないので少々不安も覚えます^^;
ファザコン。私もファザコンですw