他人の浪費話は面白い
後輩の嫁さんが100円均一で両手いっぱいガラクタを買ってきただとか
親友の嫁さんが『詐欺的サプリメント』を契約してきただとか
出張から帰ったら『ネコが増えてた』とか
嫁さんの部屋を開けてみたら見たことがない『マッサージチェア』があったとか
しかも『まるで使いやしない』とか
そういう話は最高に面白い
何故なら他人だからだ
しかし、これが身内になると、途端に怪談になる
怪談と言えば妙子さん
『妙』な『子』と書いてタエコさん
私を産んだ妙子さん
私の実家は倒産した
大学入学くらいまでは裕福に育てて貰った
倒産後はキレイになった
資産・貯金は全部消失
キレイさっぱり無一文
無一文の潔さは素晴らしい
なんたって、一文も無いのだ
無いものは無い
三途の川は泳いで渡れバタフライ
『一切金が無いYO! これからは好きに生きてYO!』
なかなか衝撃的な父の電話だったが、正直大学入学後の倒産で助かった
高校時代に倒産していたら、たぶん大学には行かなかっただろう
わりとヒップホップな感じに『好きに生きてYO!』と言われたが
『兄はちゃんと大学・大学院に行かせる金を出してあげたのに、弟には同じようにできなかった』
だいぶ後になってから、兄に向かってそんな発言をポツリと漏らしたらしい
『親心というものは、子どもには分からないモノなのだな』と思った
父は父の基準で、不公平を作ってしまったと感じても
私は私の基準で、すごく贅沢をさせて貰い続けている
これは解消しようがないナニカなのだ
たぶん、お互いに『悪かったな、すまなかったな』と思い合っているのだろう
私は誰から『どんな慰めの言葉』を貰っても『悪かったな、すまなかったな』と感じ続けるだろうし
彼も、私や兄から、もしかしたら神様から『十分やったよ』と言われたとしても『悪かったな、すまなかったな』と感じ続けるのだと思う
それは『外向き』に解決するものではないのだと思う
そもそも解決・解消させようということ自体が失礼なのかもしれない
不思議なモノだ
たぶん私が『十分』と表現すればするだけ、彼は『悪かったな、すまなかったな』と思いを深めるのだろう
そして彼がそう思えば思うほど、私は『どう考えても十分なのに』となってしまう
そんな背景で、私に向かって『金が無い、仕送りをしてくれないか』と尋ねるのはどんなに苦しかっただろうか
私は『ああ、言わせてしまったな』と思った
しかし自分から仕送りを始めたとしても、結局、彼は彼の基準で苦しむのだろう
私たち『父子』の関係は、そんな風になっていて。この件については、私はあまり解消させるつもりが無い。肉体がある限りは苦しみ続ける、それでいい。ずっと『謝』りたい、と『感』じ続けるのだと思う。
さて、妙子さんの話に戻る
彼女は浪費家である
さらに見栄っ張りである
わずかな『年金』をバッキバキ使う
定期的に『寝間着』とか『下着』とか『夫婦茶碗』とかゾロゾロ送ってくる
もう私はいい年のオッサンだ
トランクスなど自分で買える
何が悲しくて、母親の選ぶ赤いチェックのトランクスをはかねばならない?
36歳のオッサンの股間を管理しようとするな!
一体どんな感情で選んでいるのだろうか? 腹ただしさを通り越して、恐怖も通り越して、悟りが、涅槃で、エンライト。チェゲラ
しかも絶妙にサイズが小さい
もう、ホント、何なの?
無駄な買いものが、無駄な配達料で届けられる諸行無常
しかし『ふざんけんな、金を浪費するな』
などと怒ってはいけない、興奮して『名前入りの漆塗りの箸』などが届けられてしまう
妙子さんの『煽りスキル』はホリエモンに匹敵する
先日も孫(兄の子。一人っ子)に
妙子さん『いい?おじいちゃん。つまり私の主人は、兄弟がいっぱいいるの。わかる?』
孫『わかる』
妙子さん『うん。じゃあ貴方のお父さんと太平君の関係も分かる?兄弟』
孫『わかる、兄弟』
妙子さん『そう、おばあちゃん。つまり私も兄弟がいるのよー。』
孫『そうなんだ』
妙子さん『なのに、貴方には兄弟がいない。これって変だと思わない?』
孫『…』
上記やりとりを義姉(孫のお母さん)の前で展開
義姉ぶち切れ大炎上
たぶん今頃『名前入り漆塗りの箸』が追撃で届けられているはずである
怒ってはいけない、箸が来る。箸はもう要らない、パンツも
とにかく彼女は浪費をする
ある日、電話がかかってきた
妙子さん『金が無くなった。ちょとお小遣いを下さい』
色々思うところはあったが、彼女にも世話になった
『無駄遣いするなよ』と念を押し、金を送る
3日後
『お礼』の熨斗紙が巻かれた『高級菓子セット』が家に到着
血圧がギューンと上がっていくのを感じる
人は本当に馬鹿馬鹿しいとき額を押さえる
なんてバカバカしいのでしょう
もうね。他人だったらどれだけ面白いんだろうと思うよ
なんで血が繋がってるんだよ、勿体ない
迫り来る頭痛の中で
北朝鮮におちょくられ続けるトランプ大統領の気持ちを知る
宅急便は彼女のミサイル
大陸間弾道型菓子折ミサイル
経済制裁したい
彼女に協力的なクロネコヤマトは徹底的に叩きたい
そんなミサイル打つ金があるのなら、他にやることあるだろ?
国民の生活をなんだと思ってるんだ黒電話
そして昨日、新事件
妙子さん『新車を買ってきました』
私『???』
妙子さん『だからね。新車を買ったの』
私『???新車?』
妙子さん『そう、新車』
私『誰が?』
妙子さん『私が』
私『え? 新車って自動車?』
妙子さん『他に何があるのよ?バカじゃないの?』
言ってる内容は分かるけど、脳が理解することを拒絶するわたくし、アラフォー残暑
私『え?なんで?』
妙子さん『あのね。お父さんにプレゼントしたかったの。もう新車に乗れるのも最後かなって思って、だから今日、トヨタに行って買ってきたわよ』
私『誰かに相談したの?』
妙子さん『もう、あんたも野暮ったいわねぇ。サプライズプレゼントよ』
俺が今、一番、サプライズしてるよ!
私『??? お金は?』
妙子さん『無いわよ?』
私『??? モノを買ったら、そのモノに相応しい価値を、お金で納める。つまり購入しないといけないのよ? お金なかったら、買いものできないのよ?』
妙子さん『お金はあるわよ』
私『どこに?』
妙子さん『あんたと、ハゲ(兄)の銀行口座に』
私『???』
妙子さん『あんたと、ハゲが、頭金で20万円ずつ。そこから月に2万円ずつ、5年間で契約してきたの。分かる?』
おいモニタリングだろ?
モニタリングなんだろ?
モニタリングだと言ってくれ
妙子さん『お父さんへのプレゼントなの!』
自分の金で買え!
いますぐ返してきなさい!
どういう規模でサプライズしとんねん!!!
妙子さん『だって、もう契約しちゃったのよ?お店の人もがっかりするし、お母さん恥ずかしいわ?』
なら一言相談せんかい!
とにかくこの流れだったら軽トラでも絶対に買わんからな
そもそも、ハゲ(兄)とどうやって『免許を返納させる』かを一生懸命考えとる最中なんじゃ!
運転するな!サインするな!相談しろ!箸見るな!トランクス選ぶな!一文に絵文字を3つ以上使うな!
小さい頃、ネコを拾ってきて『今すぐ返してこい』って言われたコトを思い出したわ
クーリングオフの制度作った人に国民栄誉賞あげたい
夜。ハゲ(兄)と電話で盛り上がる
私『あれはヤバいね』
ハゲ『ヤバい。ゾッとしたね。』
私『…でも。コレ、他人だったらくっそ面白いよね』
ハゲ『だねー』
とゲラゲラ笑える私たちは平和なのであった
『驚きは知ることの始まりなり』
~プラトン~
『ただ死者のみが戦争の終わりを見たのである』
~プラトン~
『逆境や困難は確かに人を成長させるが、その授業料はあまりにも高く。払った値に見合うことは殆ど無い』
~ジャンジャックルソー~
『薬を10錠飲むよりも、心から笑った方が効果があるはず』
~アンネ・フランク~
『この世は舞台なり。誰でもそこでは一役演じなければならぬ』
~シェイクスピア~
コメント
コメント一覧 (2)
これからも、長生きしてね。
チョンキン マンションの ボスは 知っている(春秋社)
が面白かったです。