学祭を見に行った

一般の方も参加できる出店や医学展示ではなく

学生が互いの苦労を讃え合い、互いに一芸を披露し合うような

最も身内感の強い後夜祭というイベントを見に行った

おそらく医者として参加していたのは、私と嫁ちゃんだけだったと思う

普通は行かない

 

学生達だけで集まって盛り上がる修学旅行の

ひそひそ話をしている消灯後の部屋のようなもので

教師がそんなところに行くことは野暮だ

普通は行かないし

行ってはいけない

 
 

話は3週間ほど前に遡って

帰国してすぐ、大学3年生の実習の監督をすることになる

男子が2人いて。彼らの研究を手伝うことになった

 

彼らは毎日ぼろぼろの状態で病院へ来る

聞いてみると、部活にバイト、学祭の準備。そして実習と大変ハードなスケジュール
 

大きな負担の大部分を占めているのは後夜祭で『一芸』を披露しなければならないことにあった

 

学生は学生で色々なしがらみがあり。断ることができなかったのだろう。コントを人前で披露するハメになったようだ。夜中に集まっては『あーでもない、こーでもない』言いながらネタを書いているという

 
 

これが爆裂につまらない!
 

面白くなさ過ぎて、逆に面白い!
 

愛しくなるほどつまらない!

 

みるみる彼らのことが好きになる

いったいどのような滑り方をするのだろうか?

命に関わるほど滑るのじゃないだろうか?

 

ネタを見てしまうと、気になってしょうがない

 

日中はデータの解析・プレゼン作成を行い

夕方からは一緒にネタを作る生活が始まる

 

学祭までは7日もない。練習する時間がとても少ない

そしてネタ作りが中々進まない

『言い方』や『間』を考えはじめると、どんどん深みにはまり、怖くなってくる

我々は芸人じゃ無いから。思い描いたとおりに演じるのはとても難しい

面白いと思ったことが、致命的に受けない。そんなことが頻繁に起こる

 

 

コントをする野球部の男の子、目力(仮)は不安要素ばかりのコントに淡々と向かい合っていた

 

7時半

医局で私と目力はネタを考えている

そこに私の上司のジャズ(仮)が入ってきて語気強めに言った

 

ジャズ『おい!太平。お前いったい何をやってんだ?!

 

私は答える

何って? ネタを書いています

 

ジャズ先生は私の奇怪な行動を見慣れている。彼的にはちょっと私を弄るつもりで怒る気など毛頭無い。私も怒られるとは思っていない。

 

しかし、その瞬間に目力が口を開く
 

目力『いや、違うんです。これは僕がワガママを言って

 

目力『もう今日のデータ解析は終わったので、ちょっと時間をいただいているんです

 

 

彼はなんと私をかばいはじめたのだ

『やばい、俺のせいで太平が怒られてしまう!』と思ったのだろうか

 

これにえらく感動した

なかなか出来ることでは無い

 

彼目線からすれば、割って入ることで『自分が怒られる』可能性も見てるだろう

 

かつて駅のホームに落ちた人を助けようとして、電車にひかれて死んだ若者がいた

テレビでは『助けに入るなんてバカなことをした』というコメントもあったけれど

 

その若者の行動は『計算高さ』などというものを越えていて

『反射』のように飛び出した『彼の人間性の何か』だったのだと思う

 

もちろん轢かれて死んだことは残念だったけれど

飛び出した若者のことを、私は尊敬する

 

『いや、違うんです』ジャズと私の間に割って入り、果敢に食いついた目力に

同じような感覚を抱いた

こういう人は滅多にいない

 

ネタも練習も不十分

滑るにしても、見届けよう。そんな気持ちから『後夜祭』に忍び込むことにした

 

 

風の強い日だった

夕方6時になれば真っ暗になる

いつもの駐車場が、普段よりもずっと寂しく感じるのは、そこがお祭りの跡地だからなのだろうか

 

いつかはお祭りは終わる

生きている時間というものは、『その人にとってのお祭り』なのかもしれない

『祭りの後片付け』とは、どういうことなのだろうか?

 
 

嫁ちゃんを連れて会場に入る
催しは既に始まっていた 

目力達の芸は1時間後

他の人達のやっていることも、見てみよう

 

ガチンコのお下品がそこにあった

男子学生がソファーの隙間に顔をうずめ、必死に舌先を操縦し舐めていた

 

嫁ちゃんを見ると固まっていて

ギリシャの彫刻みたいな顔で真っ直ぐに舞台を見つめている

表情の変化は無い

笑っているようにも怒っているようにも、悲しんでいるようにも喜んでいるようにも見える

 
 

休憩時間に尋ねる。ステキな見つめ方をするね?

 

キチンと罵倒してやるために、そこに展開されている物から目をそらしてはいけないのです

 

で、感想は?

 

糞です

 

ふむ、糞か

 

 

女子学生達のダンス

コント

またダンスと続く

 

目力達の番が来て、終わった

短い練習時間だったにも関わらず、キッチリ形になっていて

結構ウケていた

 

凄いね
 

どこにもない、彼らオリジナルのネタ

『名前』とは何か?という哲学的な命題を背景に感じさせる

奥行きのある作品だった

 

どうだった?

 

嫁ちゃん『知性の香りがします

とのこと

私もそう思う

 

 

コントが終われば、またダンスが始まる

可愛らしい女の子達が、華やかな衣装を着て踊る

 

私たちはホールの真ん中より少し後ろ。そして隅の方。

観客があまり密集していないところに座っていて

少し目線を動かすだけで、同じように密集地を避けて座っている男子学生の顔が。舞台のライトの反射を受け、浮き上がって見える

 

とても切なそうに舞台を見つめている

 

好きな子が踊っているのだろうか?

 

きっとそうなのだろうと思う

他のダンスを見るときと明らかに表情が違う

 

お目当てがいるのだろう

そしてこんな隅っこの方で、声を出すこともなくジッと見つめているんだろう

 

その好きな子の『好きな男』とか『彼氏』とかを知ってたりするのかもしれない

好きな子の彼氏は、よく知っている『自分が絶対にかなわない男』だったりするのかも知れない

 

 

下品なコントをやっている男の子をみつめる『女の子』にも、きっとそんな背景があったりするんだろうな

 

思いが叶わない『好きな男』を切なく見上げてたりするのでしょう

 

 

きっとあの『後夜祭』は、そんな男女が点々としていて

キレイな山で『ひめほたる』を見ているような気持ちになりました

 

ゆらりと光って消える蛍

残りの命は、あと何日か?

もしかしたら何時間も無いのかもね

思いの叶う蛍より、かなわない蛍の方が多くいて 

 

いやぁ、切ないね

後夜祭

 

 

 

『昭和20921日の夜。ぼくは死んだ』

〜火垂るの墓〜

 

 

 

 

 

『誰も貴方になれないことを知ってしまう。それを永遠と呼ぶのだろう』

〜鬼塚ちひろ 『蛍』〜

 

 

 

 

 

『全ての時は一瞬だと、貴方は教えてくれた人』

〜鬼塚ちひろ 『蛍』〜

 

 

 

 

 

『どうせ生きているからには、苦しいのは当たり前と思え』

〜芥川龍之介〜

 

 

 

 

 

『人間的な、あまりにも人間的なものは。大抵は確かに動物的である』

〜芥川龍之介〜

 

 

 

 

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コメント

コメント一覧

    • 1. dadacyamame
    • 2017年11月12日 08:14
    • 若さって、素敵ですね。
    • 2. 太平
    • 2017年11月23日 23:43
    • >dadacyamameさん

      ですなー^^
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