他人の気持ちを想像することは、とても大事なことだと思っているが

経験してみないと分からない他人の気持ちというものがある

 

数年前まで私は全く英語を話すことができなかった

国際学会に行っても、質疑応答はひどいものだった

 

医局にはしばしば韓国・中国・ロシア・アメリカから学生、医者が見学や学会で訪れる

前の教授の方針は『せっかく遊びに来てくれているのだから、おもてなしは心を込めて』というものであり

 

手術見学や病院案内はもちろんのこと、観光や食事のエスコートも徹底的に行う

 

私が研修医のとき、韓国からお客さんが来た。そのフェアウェルパーティでのこと。

私の先輩医師がこんなことを言った

よく来て下さいました、是非また来て下さい。歓迎します

 

すると教授は厳しい口調で言った
 

『あんたは彼に何をしたんや? 飯に連れて行ったり、何かの説明をしたり、どこか遊びに行ったりしたんか? お前が何もせんかったのを俺は知っとるんや。 何にもせんかったくせに、歓迎するとか、また来いとか。そういういいかげんなことを言うな。 行動せんくせに口だけ調子いいこと言うなや!

 

傍から聞いていて、これは強烈に刺さった

確かに行動が伴わず、調子の良いことを言ってしまうことがある

英語が喋れないことを言い訳にして、遠巻きに逃げていた自分のことを叱られているような気持ちになった

 

 

英語を勉強する気には全くならなかったが、海外からのお客さんが来たとき。『とにかく前に出よう』という気持ちが妙に出るのは、おそらくこのときの経験が原体験になっている。

 

翌年。学会を主催した折り。韓国からとんでもなく偉い先生をお招きした。

職場の英語堪能部隊は、毎日の食事は勿論、観光やゴルフなど忙しく走り回った。

私は英語できない部隊なので『なにかおもてなしを』と思っていたが、近づけないまま後方でウロウロしている。

 

そんなある日、300人規模の立食パーティが催される。

気がつくと、その偉い先生がテーブルで1人ぽつんとワインを傾けていた。

 

お客様を退屈させてはいけない!

 

ほぼ強迫観念に近かったのだが、気がついたからにはほってはおけない

私は単身でそのテーブルに突っ込んだ

完全に勢いだけである。

もう一度言うが、私の英語はひどい

 

 

『こんにちは。ぼく太平って言います』

 

偉い先生『おおう。ああ、はい』

 

日本。ごはん。美味しい?

 

偉い先生『おおう。ああ、はい』

 

観光?きれい? ステキ?

 

偉い先生『ぬおお? ああ、はい』

 

このパーティ。盛り上がり。いいですか?

 

偉い先生『あわわ。ええ。えっと君は何者?』

 

なんつった?(pardon?)

 

偉い先生『えっと。いや、君は誰かな?』

 

嬉しいです!

 

偉い先生『あああ。えっと、君はあの教授の部下なんだね?』

 

ワインがお好きですか?

 

偉い先生『あ! あそこに友達がいた! じゃあね。バイバイ!

 

韓国からの偉い先生は、みたこと無いような苦笑いを浮かべて立ち去った

 

パーティが終わり

皆でタクシー乗り場で見送る

 

韓国の偉い先生が去り際に『お相手してくれてありがとう』的なことを私に言った

 

私は『See you again』と返す

 

口にだした瞬間。学生時代の記憶が蘇る。動詞が先頭に来た場合、それは『命令形』になるのだ。とっさに

 

Please』を大声で付け足す

 

韓国の偉い先生は、ずっこけてから爆笑しタクシーに乗り込む

私の上司達も、あまりの私のポンコツ具合に爆笑をしていた

 

無理矢理訳せば『また来いよ… ね、またね!』ってところだろうか?

 

異国の王様を呼んでおいて『また来いよ! なっ!』は酷い

 

 

それから早5年。インドの約2年を経験し、少し英語を喋れるようになったため

帰国して早々、海外からのお客さんのお相手を申しつけられる
 

今回はロシアの医者。一週間ほどの滞在である

 

手術見学から食事・飲み会、買いものなどにご案内する

真面目な青年で好感を持った。焼き肉はハラミが気に入ったらしい

彼らの街には、日本の焼き肉料理屋的なレストランは無いらしく

テーブルに嵌め込まれた肉焼きプレートを興味深そうに写真におさめていた

 

 

一旦話は変わるが、私に部下というか。私を慕って入局してくれたモリちゃん(仮)という研修医がいる。イケメンだし成績も優秀なのだが、少々大人しい。私もかつてそうだったように(今でもそんなに喋れないが)、彼も英語に苦手意識を持っている

 

これは是非交流させてみようとけしかけてみる

太平『よし、仲良くなってこい。行け

 

モリちゃんは言われたことを、とにかく一生懸命頑張る子なので。

『はい!』と小気味の良い返事を返し、ロシア人に突っ込んだ

 

モリちゃん『あーと。えーと。うーん』

 

ロシア人『…(小動物を観察する目)』

 

モリちゃん『あー、えー。うー』

 

モリちゃん『Can you speak English? (あなたは能力的に英語を喋れるのか?)

 

 

その場にいる全員が吉本新喜劇のようにすっころんだ

 

『お前の5万倍くらい彼の方が堪能だ!』

思わずツッコみそうになるのをグッと堪える

 

モリちゃん『あーうーえー。How old are you? (何歳?)

 

ロシア人『(昆虫を観察する目でモリちゃんを見る)…It’s my secret (秘密)

 

ロシア人は『興味の無い異性からのライン』的にモリちゃんを扱いだした
その間、わずか2やりとり!
これはギネス物の記録である 

 

かつて韓国の偉い先生に逃げられた『古傷』が刺激される。
そばで聞いているこっちがハラハラする 

てか外人に不用意に年齢を聞かない方が良い

 

 

モリちゃん『あー、えー、うー。How old me do you think? (何歳 私の どう思う?)

 

ロシア人『はあ?(ハエを観察する目)』

 

太平『おおお。ごめんごめん。私は何歳に見えますか?って言いたいんだと思う

耐えきれず間に入ってしまった

 

かつて似たようなことがあった

ピーチ姫とタイの学会に行ったとき。

彼女は私に『レストランの予約くらいやってみろや』と言う

おおやってやるよ。その代わり絶対に助けるんじゃねーぞ』と私は啖呵を切り

 

それはもうメチャクチャな英語で、ホテルのフロントを困らせた

参照:困惑の国の作り方

 

ピーチ姫は私たちの間に駆け寄り、すぐさま助けてくれたのだが。良いところを邪魔された私の怒りは心頭で

 

太平『このやろー!助けないって約束したじゃねーか!すぐに母性本能むき出しにしやがって。だからお前は付き合う男がどんどんダメ男になるんじゃ!ボケェ!!!』などと口汚く罵った

 

気持ちがよく分かった!

彼女は『へんてこりんな言葉をぶつけられるフロントのタイ人』と、『なんだこの日本人は?』と言う目を向けられた私のことを思い。いたたまれなくなっただけなのだ

 

経験しないと分からないことがある

ピーチ姫よ。私が悪かった。全面的にあの悪口は撤回する。助けてくれてありがとう

 

 

ちなみにモリちゃんに『いくつだと思う?』と聞かれたロシア人

 

『はは(苦笑い)。しらねー』とのこと

 

 

 

 

『楽園は1人ひとりの内にあるのです。それは今、私の中にもあるのです』

〜ドストエフスキー〜

 

 

 

 

 

 

 

『人間の後半生は、通常、前半生で蓄積された習慣のみで成り立つ。』

〜ドストエフスキー〜

 

 

 
 

 

『人間には、幸福のほかに、それとまったく同じだけの不幸がつねに必要である。』

〜ドストエフスキー〜

 

 

 

 

 

『人は笑い方でわかる。知らない人に初めて会って、その笑顔が気持ちよかったら、それはいい人間と思ってさしつかえない。』

〜ドストエフスキー〜

 

 

 

 

 

『一番簡単で、いちばん明白な思想こそが、いちばん理解し難い思想である。』

〜ドストエフスキー〜

 

 

 

 

 

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コメント

コメント一覧

    • 1. かなみ
    • 2017年11月03日 23:30
    • 太平さん、日本はどうですか?

      このブログ、声に出して笑ってしまうので、自宅以外で読めません。
      あと、お医者さんは子供の頃から神童で、みんな賢いと思っていたのが、そうではないとよく解りました。教えて下さってありがとうございます。
    • 2. 太平
    • 2017年11月11日 21:02
    • >かなみさん

      日本は美味しいです^^
      まあ、声に出して笑うなんてステキな褒め言葉ありがとうございます♪

      賢い人もいっぱいいますよ^^
      あと賢いフリをしないと気が済まない人達もいっぱいいます☆
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